東京・丸の内の丸善本店ではネット発ネコ写真集コーナーを開設。現在、14書籍を扱っている。動画モニターに見入ったり、写真集を開いて「かわい〜!」と盛り上がったりするカップルも。「人気動画が続々、写真集になり、充実してきた。不思議な顔やデブネコなど従来のネコ写真集にはないインパクトが魅力。まったりした姿や泣けるエピソードがストレス解消や癒やしになると好評です」とは、担当の石川康太郎さん。
土鍋の中に丸まって眠る4匹の子猫の姿が投稿サイト「ニコニコ動画」で人気の「ねこ鍋」は相次ぎ2冊が書籍に。10月発行の「ねこ鍋 みちのく猫ものがたり」は早くも7刷5万部。二見書房の浜崎慶治編集長が、岩手県の農家の娘である投稿者・エレファントさんの元に出向き原稿執筆も頼み込んだ。
「ねこが、川っこくだってきた」。段ボール箱で川に捨てられていた子猫らとの出合い。家族とふれあい、元気に成長していく姿が、写真とともに岩手なまりでつづられ、まるで現代民話。ほのぼのと胸に迫る。
11月に講談社から発行された公式写真集「ねこ鍋」は5刷3万部。こちらはプロカメラマンの撮り下ろし。4匹の愛らしさを引き出すライティングや構図がプロならではの一冊だ。
「ニコニコ動画」を運営するドワンゴによると、今後は仮称「ねこ鍋ソング」CD、クレーンゲーム機景品、雑貨小物などの商品化がめじろ押し。それとともに、ねこ鍋動画の閲覧数も計120万回を超えた。
同社の担当者、大石誠さんは「ネコの自由でこびない性質は、もともとネットユーザーの気質に合っている。2ちゃんねるのキャラクター『モナー』もネコですし」と指摘する。ニコニコ動画には2ちゃんねるの技術が応用され、動画上に閲覧者が自由に書き込みできることで人気が拡大。閲覧には登録が必要だが、開設から1年弱で登録数400万人を突破している。
ねこ鍋への書き込みは約8万件。「萌え死ぬ」「かわいい」などの賛辞に交じり、ねたみなのか“荒らし”も侵入。「ウザイ」「文句いうなら見るな」「みな疲れているのよ」といった応酬も…。
ニコニコ動画で、ねこ鍋と人気双璧(そうへき)の「ふちゃぎとエリザベス」も10月に書籍化され、2刷2万2000部。
捨て猫を拾い、成長ぶりを随時動画で公開している沖縄在住の著者・宮良隆彦さん(34)のサイン会は、東京開催にもかかわらず、札幌や福岡在住者まで100人以上が駆けつけた。
これら、ネット発ネコ写真集の人気の先駆けが「まこという名の不思議顔の猫」(マーブルトロン)。6月末の発行で現在12刷8万部。11月末には、絵はがき帖も出版されるなどグラビアアイドル級の人気に「予測もしていませんでした」と著者の前田敬子さんは驚く。
里親捜しの会で、なかなかもらい手がつかないネコだった。三白眼にほうれい線くっきりの老人顔、やせ細った体はハゲだらけ。「あまりの不細工さに一瞬ひるんだが(中略)、自分が助け出してやらねば、という使命感が芽生えた」と、あとがきに出合いがつづられている。
最初は心を閉ざしていたまこも、愛情を注いで育てるうち健康的に毛並みも整い、人なつっこく表情豊かな賢いネコに成長。友人の間でも「不細工だけど愛らしい」と評判になり、昨年、夫婦の趣味である写真を生かしてブログ開設。まこファンになった編集者に書籍化を口説かれた。
前田さんのもとには「顔がユニーク」「笑える」「癒される」などの感想とともに、「ボランティアを始めました」という声も届く。「ブランド猫や美形でなくても、かわいがって育てればかわいくなる。本が、捨てられているネコや里親を待っているネコに目が向けられるきっかけになれば」と前田さん。
不幸なネコをなくしたい…。ネット発ネコ写真集に、図らずも深い使命を感じた。
引用@産経新聞
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